釉薬瓦とは?瓦の種類と特徴を簡単に解説
釉薬瓦とは
今回は、釉薬瓦と呼ばれる瓦について解説していきます。
釉薬瓦とはどんな瓦なのか?
釉薬瓦の釉薬って?
釉薬瓦とはその名の通り、「瓦」に「釉薬」が使用されているもののことです。
ではこの釉薬とはなんでしょうか?ご存じの方も多いかと思いますが、この釉薬とは一般的に陶器に使用されるものです。
釉とはうわぐすりとも読み、古くから陶器に使われてきました。
皆様が普段使われている、お皿やマグカップなどを想像されると分かりやすいかもしれません。
あの表面のツルツルしたガラス質のコーティングのようなものを、瓦用にアレンジして使っている瓦、それが釉薬瓦です。
このことから釉薬瓦は、「陶器瓦」という呼ばれ方をすることもあります
また特徴として釉薬瓦は釉薬で瓦を包むので、現在主流の瓦の中では最高の吸水率の低さ(吸水率が低い=水を吸いにくい=経年劣化しにくい)を誇ります。
皆様が普段使用されている湯飲みやお皿が、水を吸わないのと同じです。
さらに釉薬瓦が様々な色取り揃えているのは、この釉薬のおかげです。
釉薬を作る際に鉱物を調合して焼成すると、鉱物が変化して様々な色を出すのです。
これにより、製品に合った釉薬を塗布し、様々な色の瓦を取り揃えることができます。
二種類の釉薬。「マット釉」と「フリット釉」
釉薬瓦は、一般的な陶器のように釉薬を表面に塗っていることがわかりました。
この釉薬とは、焼成した後どんな色にするかなどの様々な要素で微妙に調合する成分や割合が変わり、数えきれないほどの種類があります。
しかし現在屋根に葺かれている釉薬瓦に使われる釉薬には、次の二つの大きなカテゴリーに分けられます。
調合成分にガラス成分が含まれる「フリット釉(ゆ)」と、ガラス成分を含まない「マット釉(ゆ)」です。
フリット釉の釉薬瓦
フリット油を使った瓦の特徴として、貫入(かんにゅう)があります。
これはフリット釉の釉薬でできた膜にヒビが入り、クモの巣状の模様が入ることです。
これは、瓦に釉薬を塗って焼成した後、瓦の熱を冷ますときに釉薬の膜で形成されるものです。
出来立ての製品だと見えにくいですが、何年、何十年と屋根を守ってきた瓦は埃などが入り、徐々に目立ってきます。
しかしあくまで表面の膜に入るヒビですので、瓦自体にヒビ割れが入るわけではありません。
この貫入という現象で入る模様は、陶芸の世界では模様として活用されています。
フリット釉を使った瓦の場合も、特性の一つとして理解していただければ幸いです。