雨樋の基本構造は屋根の軒先に沿って水平に設置される「軒樋」と、建物の壁面に沿って垂直に取り付けられる「竪樋」から成っています。
軒樋は屋根から流れ落ちる雨水を受け止め、竪樋はその水を地上まで導く役割を果たします。

雨樋の形状には主に半円型、角型、特殊型の3種類があります。
半円型は最も一般的で古くから使用されてきた優れた形状で、排水能力と美観を兼ね備えており多くの住宅で採用されています。
角型は近年人気が高まっている形状で、モダンな外観と高い排水能力が特徴です。
特に大型の建物や降水量の多い地域で効果を発揮します。
特殊型は特定の形状ではなく、建物の特性や設計に合わせて製作される独自の形状の雨樋を指します。

各地域での雨樋の選択はその土地の気候条件や建築様式に大きく影響されます。
例えば降雨量の多い地域ではより大容量の角型樋が選ばれる傾向にあります。
一方積雪の多い地域では、雪の重みに耐えられる強度のある材質や形状が好まれます。
また台風の多い沿岸部では、風圧に強い設計の雨樋が重要となります。
気候に応じた種類の選択は雨樋の長期的な性能と耐久性に直結します。
例えば紫外線の強い地域では、耐UV性の高い材質を選ぶことが重要です。
また寒冷地では凍結による破損を防ぐため、耐寒性の高い素材や凍結防止機能を備えた特殊な設計の雨樋が選ばれることがあります。

軒樋は屋根の軒先に沿って水平に設置される部分で、主に屋根から流れ落ちる雨水を受け止め集める役割を果たします。
軒樋の断面形状や大きさは、建物の規模や予想される降水量に応じて選択されます。

竪樋は建物の壁面に沿って垂直に取り付けられる部分で、軒樋で集められた雨水を地上まで導く役割があります。
竪樋の径や本数は排水量や建物の高さによって決定されます。

集水器は軒樋と竪樋を接続する部品で、軒樋で集められた雨水を効率的に竪樋へと導く役割があります。
適切に設置された集水器は雨水の溢れや逆流を防ぎます。

止まりは軒樋の端部に取り付けられる部品で、雨水が軒樋の端から漏れ出すのを防ぐ役割があります。

エルボは竪樋の曲がり部分に使用される部品で、建物の形状に合わせて雨水の流れる方向を変える役割があります。

主なトラブルとしては、詰まり、劣化、破損が挙げられます。

詰まりは最も一般的なトラブルで、落ち葉や小枝、鳥の巣などが雨樋内に堆積することで発生します。
詰まりが生じると雨水が適切に排水されず、溢れや逆流の原因となります。
また長期間放置すると、雨樋自体の変形や破損につながる可能性があります。


さらに雨樋の詰まりの放置は、屋根や外壁からの雨漏りにつながる危険性があります。
雨漏りは早期の発見が重要です。
以下の記事で詳しくご紹介しているので併せてご確認ください。
▶︎雨漏りの放置が招く深刻な影響とは？早期発見の重要性

劣化は長年の使用や紫外線、温度変化などの環境要因によって引き起こされます。
特に樹脂製の雨樋は経年劣化によって脆くなったり、色あせたりすることがあります。
劣化が進行すると、雨水の漏れや雨樋の変形につながります。

破損は強風や落下物、積雪などの外的要因によって引き起こされることが多いです。
破損した雨樋は雨水の漏れや建物への浸水の原因となります。

これらのトラブルを予防し雨樋の機能を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
点検時には雨樋内の清掃や接合部分の確認、破損や変形の有無のチェックを行います。
具体的な手入れ方法としては、まず雨樋内の落ち葉や堆積物を取り除きます。
これには専用のスコップや高圧洗浄機を使用すると効果的です。
次に接合部分や固定具の緩みがないか確認し、必要に応じて締め直します。
また雨樋の表面を清掃し、劣化や破損の兆候がないかチェックします。
トラブルが発生した場合、速やかに対処することが重要です。
詰まりの場合は堆積物を除去し、水を流して排水状態を確認します。
劣化や破損が見られる場合は、応急処置として防水テープなどで補修を行い専門業者に相談することをおすすめします。

新規取り付けの場合、まず建物の特性や地域の気候条件を考慮し、適切な材質や形状の雨樋を選択します。
次に屋根の勾配や軒の出を測定し、雨樋の配置を決定します。
軒樋は適切な勾配をつけて設置し、竪樋は建物の壁面に沿って垂直に取り付けます。

交換の際は既存の雨樋を慎重に取り外し、新しい雨樋を同じ位置に取り付けます。
この際建物の構造や外観に変更がある場合は、雨樋の配置や種類を再検討する必要があります。
また交換作業中は、一時的に雨水の排水経路が失われるため、天候を考慮して作業を行うことが重要です。

適切に設計・設置された雨樋は外壁や基礎の保護、快適な住環境の維持に有効です。
雨樋には様々な種類があり、建物の特性や地域の気候条件に応じて適切なものを選択することをおすすめします。
各部位の名称と役割を理解し、定期的なメンテナンスを行うことで、雨樋の長期的な機能維持が可能となります。
特に詰まりや劣化、破損といった一般的なトラブルに対しては、早期発見と適切な対処が重要です。
雨樋の取り付けや交換は建物の排水システム全体に影響を与える重要な作業です。
専門業者に依頼することで、高品質な施工と適切なアドバイスを受けられます。

私たち坪井利三郎商店は屋根外壁診断のご相談をいただいたら、長久手市にて屋根ひとすじに100年以上に渡り携わってきた経験とプロの技で、あなたのお住いの屋根・外壁を詳細に点検・診断いたします。

あわせて今後の住まい方についてもヒアリングさせていただきながら、住まいにあわせた最適なメンテナンスのご提案を無料で実施させていただきます。お気軽にお問い合わせください。