【和瓦】和瓦屋根の雨漏り。最も危険な谷廻りの症状を解説【雨漏り】
谷の雨漏り
谷とは屋根の部位のひとつです。
この谷と呼ばれる部位が、住宅が雨漏りしているというご相談で、一番原因になりやすい部位です。
今回はこの谷の雨漏りについて解説していきます。
谷とは
写真のように、屋根面と屋根面がぶつかって谷状のくぼみになっている部分です。
屋根が下に落ち込んでいるので、屋根面に落ちた雨水はこの谷の一番下へ下へと流れ落ちてゆきます。
結果雨水が集中しやすく、雨仕舞の面で非常に重要になってくる部位です。
※雨仕舞とは、雨漏り対策というような意味です。
谷板(谷樋)とは
雨水は谷の一番下へ向かって流れてゆきます。
そこで、谷に雨水を受けて屋根下まで排水するための板金を施工します。
最初から雨水が流れてくるのがわかっているので、あらかじめ雨水の通り道を作ってあげようということですね。
この板金のことを谷板(たにいた)、もしくは谷樋(たにどい)と呼びます。
では具体的にどうしてこの谷で雨漏りが起こるのかを解説していきます。
谷の雨漏りで多いケース1 谷板板金の劣化
一つ目は谷板に使用している板金が劣化してしまっているケースです。
先述の通り谷は、谷板と呼ばれる薄い板金を谷の一番低い場所に取り付けます。
現在、屋根業界では谷板を施工するときは雨水に強いステンレス製や、ガルバリウム鋼板と呼ばれる素材を使用しています。
しかしガルバリウム鋼板が普及する前に採用されていたカラー鋼板や銅板は、ガルバリウム鋼板と比べると錆びや穴開きが起きやすくなっています。
谷板の劣化による雨漏りのメカニズムは以下の通りです。
①
谷板に穴が開くなどすると、穴から野地が暴露します。
②
野地には下葺き材としてルーフィングもしくは杉皮が葺かれています。
・しかしこのルーフィングも日光に晒され続けたりすれば劣化が進みます。
・もしくはルーフィングを野地板に止めているタッカー(ホチキスのようなもの)の芯が雨水に触れて錆び朽ち、ルーフィングに穴が開きます。
・杉皮の場合、すき間なく敷き詰められているわけではないので、雨水は野地板へ流れます
③
結果ルーフィングが破けたりすると、直接野地板(屋根の下地に使う木の板)に雨水が流れます。
④
野地板にまで雨水が浸入すると、以下のようにして雨漏りに繋がります。
・バラ板の野地板であれば、隙間から天井裏へ雨水が落ちる。
・野地板を留める釘が錆び朽ち、雨水が釘穴から天井裏へ入る。
・野地板自体が水を吸収して腐る。
銅板製谷板の穴開きの劣化事例
谷の雨漏りで多いケース2 谷板にゴミが詰まる
住宅の近隣に林や森などが多い場合によく見られるケースです。
落ち葉などが風で飛ばされて屋根に落ち、谷に堆積してしまいます。
積もった落ち葉や泥が、谷板に詰まっているような状態です。
そのまま積もり続けると、谷の左右からはみ出てしまいます。
はみ出た落ち葉などが雨水を吸い上げ、そのまま谷板の左右の屋根材の下へと雨水が浸入してしまいます。
そうするとケース1の②同様に野地板に雨水が浸入します。
その他にも、谷板のすぐそばに打たれている桟木を留めている釘に雨水が流れると、釘が錆び朽ち、その釘穴から天井裏へ雨水が入ります。
最後に
今回は谷回りの雨漏りのケースを解説致しました。
最初にお話しした通り雨漏りのご相談をいただいた際、一番多いのがこの谷が原因になっているケースです。
雨仕舞の面で非常に重要な部位になりますので、ぜひ、本記事をご参考ください。