和瓦とは?瓦の種類と特徴を簡単に解説
和瓦(和型)とは
瓦には材料、製造方法、瓦の形などで様々な種類分けがあります。
和型、和瓦と呼ばれる瓦は、中でも瓦の形によって種類分けされる瓦の呼称です。
また、和と冠するだけあって日本で古くから葺かれてきた形でもあり、歴史と変遷がある瓦でもあります。
三種類の瓦の形
和瓦を説明するうえで、ほかの二種類の瓦と比較するとわかりやすくなります。
現在広く普及している瓦の形の種類は、J型、S型、F型の三種類です。それぞれ瓦の形のことを指しており、中でも和瓦はJ型(日本:JapaneseのJです)のことを指しており、ゆるやかな波のような曲線を描く瓦です。
この形は江戸時代に開発された形で、和瓦の中でも「桟瓦」と呼ばれる分類です。
現在、和瓦と呼ばれる瓦はほとんどがこの桟瓦を使用しています。日本家屋の雰囲気に良く馴染み、葺いた時の外観の美しさが特徴です。
和瓦の歴史。桟瓦と本葺き瓦
先ほど説明したように、桟瓦とは江戸時代に開発された形です。
それ以前に葺かれていた瓦は「本葺き瓦」と呼ばれ、桟瓦とは異なる施工方法で葺かれていました。
本葺き瓦は「平瓦」と「丸瓦」の形の異なる二種類の瓦を組み合わせて使い、屋根を葺いていました。
しかし二種の瓦を組み合わせて葺くという特徴から屋根の重量が重くなり、建築物の躯体が強かったお寺やお城などでしか使用することができませんでした。
江戸時代に開発された桟瓦は、以前の本葺き瓦の二枚を一枚に組み合わせた瓦で、これにより屋根重量を大幅に軽量化することに成功しました。
また、桟瓦が普及するまで、一般住宅では草を束ねて屋根を葺く葦葺き屋根が主流でした。
この葦葺き屋根が江戸の大火で延焼につながり被害を拡大させたとして、幕府が一般住宅の屋根を不燃性の高い瓦屋根にさせようとしました
。この時に補助金制度などを導入したことから、この桟瓦が広く普及することとなりました。
和瓦の特徴
形もそうですが、和瓦にはもうひとつの特徴として、特殊な部分に使用される瓦の種類が多いことが挙げられます。
瓦を屋根に葺く(工事する)時、一般的にイメージされる屋根の平らな部分に葺かれる瓦を平瓦(ひらがわら)と呼びます。
しかし屋根は平らな部分のみで作られているわけではありません。屋根の端に位置する軒先やケラバ。
屋根の頂上に位置し、地面と水平に横たわる棟。
屋根同士がぶつかり合う谷など様々な部分があります。
よくイメージされる瓦とは屋根の平瓦のことであり、屋根の形が違えば瓦の形も違うものを使用しなければなりません。
この特殊な部分専用に作られた瓦を役物瓦(やくものがわら)と呼びます。
先述の通り、和瓦は特に役物瓦の種類が多いです。
棟に使用する鬼瓦ひとつとっても、地域などで様々な種類があります。
軒やケラバでも、地域によって主流となる瓦や葺き方が異なり、様々です。
このような様々な瓦を、如何に使用してどんな雰囲気を持った屋根にするかを、日本人は古くから楽しんできたのです。
現在屋根業界において、こうした様々な種類の瓦を使用し、屋根で「遊ぶ」という文化は損なわれつつあります。
こうした、家々で異なる表情を見せる屋根というのはその分金額がかかってきますし、大量生産で既製品の瓦を使用するというのが現在の屋根業界の主流となっているからです。
最後に
今回は和型、和瓦と呼ばれる瓦について解説致しました。
日本において長く葺かれてきた瓦ですが、現在主流の桟瓦は江戸時代に開発された瓦です。
それでも、和風家屋にはこれしかない!と言えるような、独特の和の雰囲気を持っています。
皆様のお家の屋根はこの和瓦でしょうか?ほかの瓦についても解説致しますので、ぜひ他の記事もご覧ください。