屋根工事「ルーフィングの役割と種類」
ルーフィングとは
ルーフィングとは「下葺き材(したぶきざい)」や「防水シート」と呼ばれる屋根の部材の一種です。
ルーフィングなどの下葺き材は、屋根材(瓦やスレートなど、屋根の一番外側の部材)の下に施工されています。
ルーフィングが開発される前は、塩ビ製のものや、杉皮が使用されていました。
ルーフィングの役割
ルーフィングの役割は、屋根材の下(裏)に浸入した雨水を軒先まで排出し、野地板を雨水から守ることです。
野地板と呼ばれる屋根を乗せるための板は、木材のものが主流です。
木材は水を吸いやすいので、屋根材の下へ入り込んだ雨水を野地板が吸い続ければ、腐食が進み、危険な状態となります。
そこで、水をしっかりとはじき、野地板に吸わせることなく屋根の下まで流し切るのがルーフィングの役目です。
アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングとは、ルーフィングの最初期の製品です。
簡単に言えば、フェルトのような材質の紙をアスファルトに浸して製造するものです。
基材が紙なので、破れやすく、現在では比較的安価に製造されています。
現在でも、アパートや公共施設などの大型建築で使用されています。
改質アスファルトルーフィング
改質アスファルトルーフィングとは、アスファルトルーフィングに改良を加えたものです。
改良点として
・基材を紙ではなく合成繊維不織布にし、破れにくさ向上
・改質剤を使用し、破れにくさと温度への耐性の向上
などがあります。
改質剤とは、ゴムや樹脂を中心とした成分のことです。
このことから「改質アスファルトルーフィング」は
「ゴムアスファルトルーフィング」、もしくは「ゴムアス」と略して呼ばれることもあります。
現在の新築やリフォームなどでは多くの場合、この改質アスファルトルーフィングが採用されています。
粘着アスファルトルーフィング
粘着アスファルトルーフィングには、ルーフィングの裏側(野地板側)に粘着層があります。
この粘着層のおかげで、両面テープのように野地板に直接ルーフィングを貼り付けることができます。
従来のルーフィングでは野地板に貼り付ける際に、ハンマータッカーと呼ばれる工具とステープルを使用します。
ハンマタッカーでステープル(ホッチキスの針のようなもの)を打ち付けることで、ルーフィングを野地板に貼り付けます。
しかしこの方法は、
・ごくわずかではあるが、ルーフィングに穴を開けることになる
・ホッチキスの針そのものが鉄製で、水を吸いやすく劣化しやすい
という弱点もありました。
粘着アスファルトルーフィングはこの弱点を克服できます。
しかし粘着アスファルトルーフィングは比較的高価になりやすいことから、一部の屋根でしか使用されていません。
この一部の屋根とは、「緩勾配(かんこうばい)」の屋根のことであり、屋根の傾斜が緩い屋根のことです。
屋根の傾斜が緩いと、屋根上を流れる水が下へ流れにくくなり、水が屋根に溜まりやすくなります。
透湿ルーフィング
透湿ルーフィングとは、アスファルトを使用しない、新たなルーフィングです。
その名の通り湿気を逃がすルーフィングです。
屋根を支える野地板を雨水から守るという従来のアスアルトルーフィングの防水という役割はそのままに、湿気を逃がす機能を備えています。
その透湿性は、アスファルトルーフィングと比べて150~200倍と言われています。
木材の腐食は、直接雨水を吸わずとも、長期的な湿気や結露を原因として起こります。
また、換気性にも優れ、湿度や熱気の溜まりやすい小屋裏の温度を下げることもできます。
これにより「一階に比べ二階の部屋がとても蒸し暑く、なんとかしたい」というような悩みを解決できます。
同時に、耐久年数も従来のアスファルトルーフィングより長いと言われ、優れたルーフィングです。
しかし透湿ルーフィングの透湿性を活かすには、野地板と屋根材の間に空気層が必要になります。
せっかく透湿ルーフィングを敷いても、真上に屋根材が密着していれば、効果は減少してしまいます。
透湿ルーフィングに適した屋根とは、野地と屋根材の隙間が多いS瓦や和形、もしくは、二重野地板の工法などにしなければなりません。
最後に
今回は、ルーフィングの役割と種類について解説しました。
このほかにも、様々な種類のルーフィングがあります。
屋根工事をする際に気になった方は、ぜひ業者さんに質問してみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。