屋根の各部位の名称
屋根の部位
屋根には、物件ごとに様々な部位があります。
屋根ひとつひとつに必ずあるものから、屋根によってあったりなかったりする部位。もしくは、屋根全体を見て種類分けするものなどもあります。
今回はこういった屋根の形状について詳しく解説していきます。
各部位の名称
平部
屋根の平たい面の部分です。
平部なしに屋根は作られません。
軒先、軒
屋根の傾斜の下側の辺を軒先、もしくは単に軒と呼びます。
業者さんによっては鼻と呼ぶこともあります。
軒先は、雨漏り対策である雨仕舞でも重要な場所です。
屋根に降りかかった雨は屋根を伝って屋根下へ排水される際、ほとんどこの軒先を通るからです。
ですので、この軒先にはほとんど必ず軒先板金と呼ばれる水切り板金が差し込まれます。
この板金を差し込むことで、軒先から軒樋への雨の流れをスムーズにし、排水機能を強化しています。
棟
屋根の平部と平部がぶつかる場所で、軒先の反対側に位置します。つまりは屋根の斜面の上側の辺のことです。棟は、その中でも屋根のどんな位置にあるかで様々な種類分けがあります。
大棟、本棟(おおむね、ほんむね)
棟の種類です。屋根の頂上で地面と水平に横たわっている棟です。
ただ単に棟と言われてイメージするのは主にこちらになります。
隅棟(すみむね)
棟の中でも、屋根の角に向かって斜めに伸びている棟です。
また隅棟が角の頂点まで伸びて屋根平面は隅棟によって二つの三角形になります。
この三角形の角度が同じだと「真隅」、角度が違うと「振れ隅」と呼びます。
降り棟(くだりむね)
棟の中でも、軒先と垂直に交わるような棟を降り棟と呼びます。
よく、隅棟と下り棟は同じものを指すと言われますが別物です。
おおまかな違いは、軒に対して斜めなのが隅棟、軒と垂直なのが降り棟です。
他の違いとして、隅棟の下には必ず棟木が入っていますが、下り棟には棟木がありません。
降り棟は屋根の平部に棟を葺いているような状態であり、飾りとしての役割が強いです。
ケラバ
屋根の中でも、棟と軒をつなぐ辺をケラバと呼びます。
ケラバは軒と同じく水切り板金を使用して施工します。
谷、本谷(たに、ほんだに)
谷とは、屋根面がぶつかり、なおかつくぼんだ箇所のことです。
屋根面がぶつかるという点では棟と同じですが、棟は屋根面がぶつかって山のように盛り上がっています。
山折り谷折りを想像していただき、山折りの部分が棟、谷折りの部分はそのまま谷と呼ぶと考えればわかりやすいかもしれません。
この谷と呼ばれる部位は、屋根の形状によってあったりなかったりします。
屋根は住宅一件一件で全く形が異なり、谷が必要な住宅といえば、少し複雑な形になっているケースが多いです。
特にその特性上、雨が流れ込んで集中する部位ですので、雨仕舞(あまじまい。雨漏りの対策のこと)で非常に重要な部位になります。
実際、雨漏りの調査にお伺いした際に、一番原因として多いのがこの谷に使用されている水切り板金の劣化や、施工時の不具合が多いです。
皆様の住宅に谷があるかどうかは、注意して見たほうが良いかもしれません。
役物部材とは
役物部材
屋根材には、平部に葺かれるその屋根材の本体と言える部材以外に、今まで紹介した屋根の中でも特殊な部位に葺く特殊な部材があります。
このような部材を「役物」と呼び、平部とは異なる施工が必要になります。
最後に
屋根工事において、こういった特殊な部位はとても重要です。
多くの場合雨仕舞の上でも大切な部分になっています。
それゆえに求められる知識も技術も高くなっています。
残念なことに雨漏りの現場調査に伺った際、こういった各部位の施工が不十分であったことが原因になっているケースは少なくありません。
こういった各名称は屋根工事を依頼する際に覚えておいて損の無い知識です。
皆様のお力になることができれば幸いです。